もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 肌を重ねたから偽装恋愛の約束を破ったとだけ言って、一方的に関係を終わらせたのだ。

 思い出すとだんだん胸がむかむかしてきて、やるせなさや怒り、悲しみが溢れる。

 それなのに蒼史さんは目を細めてぽつりとつぶやいただけだった。

「家族か」

 そこに感情は見えない。なぜ彼がそこに引っかかりを覚えたのかもわからなかった。

「俺は君の夫にも、ユウの父親にもなれない。この三か月でわかっただろう」

「なにを言って……」

「蔑ろにしている自覚はある。それに関して申し訳ないとも思っている」

 答えを準備していたのかと思うほど機械的な言い方だった。

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