もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
四年振りに動き出した時間
「姉ちゃん」

 不意に呼ばれて肩が跳ねる。

 声のした方を向くと、明るい茶髪が目立つ長身の男性が目に入った。

 私のひとつ年下の弟、大和だ。

 姉の私と同じく垂れ眉だけれど、私ほどのんびりした印象は与えない。

 もっとも、私がそう言われやすいのはセミロングの髪をまとめずに流しているせいかもしれなかった。

 やや明るめの茶色に髪を染めたとき、意図せず同じタイミングで髪を染めた大和と似た色だったのには笑った。

 ほかに似ているところはチョコレートカラーの茶色い瞳だろうか。

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