おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「頼むから二度と他人なんて言わないでくれ……!」
「香月くん……?」
耳を塞ぎたくなるほどの悲痛な叫びと、千春を逃すまいとする腕の力に怯えおののいてしまう。
「俺にとって……ちぃは家族以上の存在だ」
香月の想いに応えるようにおずおずと背中に手を回す。
医者としてのプライドよりも他人と言われたことを思い悩む香月に、なんと声を掛けてよいのかわからなかった。
(家族以上って……どういう意味なの……?)
これ以上、恋心を封じ込めておけるはずがない。蓋は開いてしまった。
(香月くんが好き……。好きで好きでたまらないよ……)
今はただ、一秒でも長く狂おしいほど愛しい彼の抱擁に身を委ねていたい。