おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜
「おやすみ、ちぃ」
香月はそう言うと元通りに座り直し、論文の続きを書きだし始めた。しばし呆気に取られていた千春だったが、香月に担がれたことに気が付くと部屋を飛び出し階段を駆け下りた。
「千春ちゃん、もう帰るの?」
「お邪魔しました!」
千春は珠江からの呼びかけもおざなりに、脱兎のごとく自分の部屋まで逃げ帰った。
布団をめくると、頭からすっぽり被る。穴があったら入りたい気持ちで一杯だが、手頃な穴がないので布団で我慢する。
(香月君の人でなしーー!)
千春は心の中で思い切り香月を罵倒した。
キス以上のことを望んでいた自分に驚き、デコチューでがっかりしていることをひたすら恥じ入る。
結婚は眺めるもので、するもんじゃないなとつくづく思ったのだった。