おとなり契約結婚〜幼馴染の小児科医が推しを盾に結婚を迫ってくる件〜

「そうだな。休診日とくっつけて二連休にすれば、ちょうどいいだろ?一年前まで一人でやってたんだ。一日くらい香月がいなくても問題ないさ」
「え、あ、でも……。ほら!事務方は私がいないと……」
 
 柳原こどもクリニックにフルタイム勤務の正職員は二人しかいない。あとは勤務時間の短いパート職員ばかりだ。千春が抜けた穴は意外と大きい……はず。

「新婚旅行に行くって言えば、みんな協力してくれると思うわよ?由里ちゃんにも電話してみましょうか?」
「おばさん!?」
 
 その場で由里に電話をかけた珠江は、電話が終わらないうちに指でOKサインを送って来た。
 あっという間に旅行の段取りがつけられていく。ここまでされたら行きたくないとは言いづらい。
 
「どうする?香月くん……」
「こうなったら行くしかないだろ」

 こうして、千春と香月は当初の予定にはなかった新婚旅行に出掛けることになったのだった。

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