死神のマリアージュ
「界人はいいの」
「何が?」
「父さんと同居するだけじゃなくて、仕事も一緒なこと」
「別に俺はいいけど。ってことはさ、もしかしたらおまえより頼雅さんと一緒にいる時間のほうが長くなるんじゃね!?」
「確定でしょ。だから色々気を使うことになるんじゃない?」
「かもな。まぁそれでもどうにかなるよ。俺が気を使うってことは、頼雅さんだって俺に気を使ってくれてることになるわけだし。それにおまえも言ってたじゃん。“一緒に住んでる家族なら、お互いに仲良くしたいと思う”ってさ。俺もおまえと同意見」
「よく覚えてたね、歓迎会で言ったこと」
「そんなすげー前の話じゃねえ・・よな」
「歓迎会したのは“もう”一ヶ月くらい前になるよ。なんか、“まだ”一ヶ月くらいしか経ってないって気もするけど。ヘンな感じ」
「そうだよなぁ。時間経つのが早えから、日にち過ぎるのもめちゃ早く感じるけど、ときどき“まだこれだけしか経ってないのか”って思うときもある」
「だよね」
「けど俺、今は早く時間が経ってほしい。早く時間が経って、早く月日が流れていって、そして早く・・大人になりたい」

最後のほうはボソッと呟くように言った界人の「たぶん独り言」の部分まで、私にはちゃんと聞こえていた。
だから私も「独り言」のように呟き返した。

「私も」って。
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