死神のマリアージュ

好きな人を愛することは恥ずかしいことじゃない

なんで・・どうして私は人が「薄く視えるときがある」んだろう。
それも私が見た人全員じゃないし、毎日その現象に遭遇もしてない。今のところは、だけど。
さっきの女の人の場合はトイレの照明加減のせいでそう見えた「ような気がした」・・?
いや違う。
あれ以来、ずっとあの現象に遭遇してなかった――つまりさっきのが二回目だ――から忘れてたけど、初めて薄く視えた宅急便のおじさんは「外」にいたから、明かりがどうとかっていう話じゃないはず。
そしてその現象に遭遇する場所や時間も「突発的」だから、予測するのは不可能・・・。

「・・・き。おーい・・雅希?どうした。気分悪くなっ・・」

・・・あの女の人を追いかけて、私はどうするつもりだったんだろ。
仮に女の人を見つけたとして、それから私は・・・どうすればいいの?

分からない。

この事実にショックを受けた私は、咄嗟に界人に抱きついていた。
そして界人は、突然自分に抱きついた私を、なんの躊躇もなく、その逞しい体で難なく受け止めてくれた。
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