毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい



「あの! 私でよければ、一回お供させてください!」

 立ち上がり昴さんを見る。昴さんは唖然とした表情で私を見ていた。

 ……あれ、思っていた反応と違う。
 また間違えた? さすがに怖くなり、ぎゅうっと目を瞑ると、

「……おい、さすがに冗談だ。おまえをここに連れてきたのは少し話をしたかっただけだし、あの時のことをきちんと謝りたかった。ただ、それだけだ」

 ――やはり間違っていたらしい。火が吹くほど恥ずかしくなり、また、ゆっくりとソファーに腰を下ろす。

 冗談通じない、頭固いやつって絶対思われた。

「それにあれだ。こんな、恐怖を植え付けたヤツより、最初は好きなヤツとシた方がいい」

 ……もしかして気遣ってくれてるだけだろうか。だとしたら余計なお世話だ。

「さっきはごくたまにって言いましたけど、結構頻繁に……いや、ほぼ毎日ってくらい、怒っている昴さんが夢に出てきます。悪夢です。だから、抱かれたら変わるんじゃないかと思ったんです」

 失礼を承知で無礼なことを言ってみると、昴さんは私を見て大きく頷いていた。

「俺も、柏を夢に見る。泣いている柏が夢に出てくる。その度に反省してた。……いいのか? 今は冗談で言ってねぇぞ」

「は、はい! ここ最近、筋トレや走り込みをしていなくて体力が衰えてますが……それでもよければ……」


< 17 / 58 >

この作品をシェア

pagetop