毒舌な航空自衛官は溺れる愛を捧げたい



「じゃあキスだけ……」

「キ、キスは絶対ダメです! キスは感情移入するって言うじゃないですか」

 感情移入ならもうしてるくせに、何の意地なのか、俺を拒みまくる柏の頬にキスをする。 

 柏が可愛くてたまらない。

「感情移入しろよ。柏がいてくれるなら、俺、柏のために生きたいって思うよ」

「ち、違うでしょ! 国民を守るために生きるんでしょう?」

「俺は今教官じゃないしな、俺にも人の心はあるし。柏がいてくれるなら、柏が好きな空をずっと、今まで以上に守りたいって話」

「……そうやって、どさくさに紛れて口説かないでください」


 顔を真っ赤にする柏が可愛い。

 俺を受け入れてくれた柏が愛おしい。


 ゆっくり触れるように唇にキスを落とすと、柏は耳まで真っ赤にした。

「今すぐ答え出さなくていいから。俺がいる未来を考えてほしい。俺、結構料理作るの得意だし、見ての通り掃除もちゃんとやるし、柏にあれしろこれしろって言わないから」

「私を何だと思ってるんですか! 好きな人に食べてもらう料理なら喜んで作りますし、家事もします! まあ、昴さんみたいに上手くはないですけど」

「一緒にやりゃあ良いじゃん。うん、絶対楽しいぞ」

 ――さっそく俺との未来を考えてくれている柏。

 今はこれで十分だ。いつか絶対、柏に好きだって言わせてみせる。


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