大変恐縮ではありますが、イケメン執事様と同居させていただいております。
「それにしても先ほどの茶会はなんですか?羊羹不味そうに食うわ茶飲んだ後苦笑いだわ、挙げ句の果てに足痺れて思いっきりコケるわ……『けっこーなお手前で』じゃねーんだよ、どの口が言ってんだよ。舐めてんですか?お嬢様という職業を舐めてんですか??」

聖司くんはたぶん途中で汚い言葉が混ざったことに気づいていない。

「だから言ったじゃん、茶会とか苦手なんだってー。あんな長時間正座させられたら100パー痺れるに決まってー…」

「あ?」

「すんません」

聖司くんに凄まれた時はとりあえず謝っとくのが吉。

「ほんとうに反省してると言うのなら、来週のパーティーで評価Aをおとりになってください」

「えぇ!?無理だよ!」

基本評価D、よくてCの私は顔を左右にブンブン振る。

「Sを取れと言ってるわけではございません。普通にそつなくこなせればAなんか簡単に取れます」

「えぇ〜」

顔を歪めて不服を申し立てると、聖司くんが私の顎をクイッとした。

「!」

聖司くんの無駄にセクシーな目に絡め取られる。

瞳の奥に宿る聖司くんの獰猛な獅子みたいな殺気に、私はやっぱりキュンじゃなくヒュンとした。


「いいですか。これはお願いではございません。確約です。絶対にお取りになってください。さもなくば…………です。お嬢様」


さもなくば、のあとに続く何かを察した私は、ゴクリと生唾を飲み込んだ。




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