大変恐縮ではありますが、イケメン執事様と同居させていただいております。
『会いたい』『会いたくない』

その二つの気持ちが混在して、押しつぶされそうになってるように見える。

本当だったら一緒にいるのが当たり前な家族。

会いたくないわけない。

でも会うのはきっと…怖い。

だって、これまで一緒に暮らしてこなかったってことは

聖司くんのお父さんは、お父さんになることを選ばなかったってことだから。


「……大丈夫だよ、聖司くん」


私は聖司くんの前にしゃがんで、両手を取って聖司くんを真っ直ぐに見つめる。


「私がいるよ」

「……え……?」


小さく動揺をこぼした聖司くんの手は冷たく、震えてる。

私はその手が少しでもあったかくなるように、ギュッと握る。


「聖司くんが悲しくなっても、苦しくなっても、そばにいるよ。何があっても聖司くんを守るよ。ずっと、ずっとそばにいるよ」


聖司くんが、私のお父さんに一緒に会いに行ってくれたときと同じように。

そばにいるよ。


「……」


聖司くんの手の震えが、止まった。

そして聖司くんは私の目を見返したまま言う。




「…………プロポーズみたいですね」




!?


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