十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

 数百年に一度、女神が地上へ光の力を産み落とす。その力を授かった者である聖女を大切に庇護する定めがあり、この祭りの殿下の晴れ舞台でそのことが伝えられるとサラは常に殿下の傍に居るようになるのだ。

 婚約者である私はどんどんと周囲の目に映らなくなるようになって、最期には……。
 
 体が冷えていく最悪な過去の出来事が思い浮かび上がっていると、過去と同じように殿下がサラを助けた。

 見てるのがこんなにも辛いだなんて思わず、ダニエラ様から頂いたネックレスを強く握っていると、チェーンが切れてしまった。やっぱりついてない。

 出会った所を見届けられたのだ。後はもう帰ろうと踵を返そうとしたが、見たことのない光景がそこにはあった。

「なん、で……?」

 癒しの力ではなく、軟膏を塗って処置し始めたサラは処置が終わると、そそくさと子供の手を引いて人混みの中へと紛れて消えていった。

 一度は不穏な空気になりかけたのを殿下が吹き飛ばすように笑顔を振り撒き馬を進めて、パレードを再開させた。

 嘘でしょ……?サラを乗せて、祭壇に向かうんじゃないの?

 これまでとは違う時間が今、流れていくことに呆然と立ち尽くすことしか出来ない。

「エリーザ!」

 自分が呼ばれていることに気付きもしないまま、状況を把握しようと頭をフル回転させていると大きな影が落ちた。
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