十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!


 眠りから覚めた私に朝の支度をテキパキと終わらせていく侍女達が部屋から出て行った後、私は改めて自分の頬をつねった。

「ちゃんと痛い……」

 じーんと広がっていくような頬の痛みに、死んだはずの私は目を瞬かせた。

 あの瞬間を思い出した途端、喉がひゅっとなり背中に悪寒が走る。確かに首を刎ねられたはずだというのに、何故生きているのか。

 動揺を隠せないまましばらく考え込んでいると、部屋の扉が叩かれ入ってきた侍女が大きめの荷物を部屋に運んできた。
 
「何か考え込んでいるようですけど、ダニエラ王妃殿下からお荷物が届いておりますよ」

「ダニエラ様から……?」

 政略結婚とは言えども、私のことを実の娘のように可愛がってくれるこの国の王妃であるダニエラ様。

 そんなダニエラ様から荷物なんて、一体何が……。

「っ……!!」

 侍女達が丁寧に荷物の中身を取り出したのは、細やかなレースが使われた淡いガーベラの花を思わせるペールオレンジ色のドレス。

 今度の王都で開催されるお祭りの時にでも着てください、と手紙が添えてあるのも知っている。
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