十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

「あの、殿下……?どうかされました?」

「こうして恥らうエリーザも最高に可愛いと思って眺めているんだ」

「や、やめて下さい!」

「本当に可愛い」

「サラの方が可愛いですわよ。愛くるしい笑顔とか仕草とか……私には到底無理ですし」

「へえ」

 どこか声のトーンが変わった殿下に抱き寄せられて、そのままベッドに二人して倒れた。

「ずっと前から俺はエリーザのことが愛おしくて愛おしくて堪らなかったのに、強制的にあんな年下好きの薬学馬鹿に愛想振り撒いていた俺の気持ちは分からないんだろう」

「え?!ちょ、殿……んっ!」

 聞きたいことが山ほどあるのに、それをさせないと殿下の唇が私の口を封じた。
 
「前に教え込むって言っただろう。丁度いい機会だ。俺がどれだけエリーザを想っているか分からせてやるから――覚悟しろ」

 殿下自ら着ていた服のボタンを取り始めて、心の準備が整っていない私に向かって口角を上げた。

 こうして私は『夜通し』、殿下の想いを教え込まされ、舞踏会には姿を現すことはなかったのだった。


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