網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。

人生で二人目の彼氏


「好き。付き合って」


そう私に言ったのは、中学2年から知り合いだった男子。

サラサラの黒髪が風に揺れて。


私を、いつもの無気力そうな瞳で見つめる。


でも、その中にある真剣な光を私は見つけてしまった。


つまり、これは本気なんだと。


私たち以外誰もいない放課後。


部活に遅れた私と、部活に入っていない彼とが存在する教室で。



――私は落胆した。


また、自分は過去から逃げられないのかと。


まだ、私は誰かに助けを求めるのかと。



――そんな自分が嫌いだ。



「いいけど。でも――・・・」


その先を口にするのは、毎回躊躇う。


だって、自分を好いてくれた人をある意味、利用することになるから。


「一つだけ、条件」


「・・・なに?」


「毎日、私の求めるときにキスをすること」


私に告白してきた網川 春夜(あみかわ しゅんや)は、例のごとく瞠目した。


・・・あたりまえか。


この頃は噂が流れて、告白してくる人も久しぶりだった。


この感覚を忘れてたけど。
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