網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。


「・・・なんでか、聞いていい?」


そう言う彼は無表情だ。


ただ、瞳には鋭い光が生まれていて、私は隠すこともないので理由を話した。




――私にはもともと、中学1年のころから付き合っていた人がいた。


優しくて、一途で。


私に告白してきた中で、私の容姿につられてこなかった、最初の人。


ちなみに二番目は、今目の前にいるこの人物だ。


幼いころから人より少し優れた容姿を持っていた私は、残念なことに男子に人気で、女子には不人気だった。


荒れるということを知らない肌の上に、長めの睫毛、形の良い唇。

バランスよく配置されたパーツ。

少し色素の薄い、かといって茶髪と言うには黒に近すぎる髪は今ではセミロングだ。


小学生の頃、何とも思っていない男子に告白されては、泣かせてその子を帰らせた。


だって、その理由を聞けば私が可愛いからと異口同音。


見た目を目当てに寄ってくる人を好きになれないのは、当たり前だと思う。


そうして断るごとに、私は女子から嫌われ者になっていった。


人を見下している、何様のつもりだ等々、そんな陰口はもう聞き飽きてる。
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