網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。
「あんたに言われたかないね」

「・・・う、」


そうだった。


私はさっき、指さしていたのだ・・・他の誰でもない蘭ちゃんを。


言葉につまる私を、これまた意地悪さを増した顔で見ている蘭ちゃん。


そして無表情なままの先生。


どういう構図だこれは。



「・・・いつまで立っている、清水。座れ」

「はっ、はい!」


さっきよりも怒気を含んでいるような先生の声に我に返り、私は急いで座った。


でも、レポートの件は忘れていなかったらしい。


「明日、課題を必ず提出しろ。自分で言ったからな」

「・・・はーい」


きっちりと、みんなの前で約束させられた。


終始クラスに笑いが満ちていたのは言うまでもない。
< 44 / 52 >

この作品をシェア

pagetop