声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 パーティーは少し遅めの時間から始まりました。
 緊張しながらもエリー先生のマナー講座で教えていただいた精神『背筋を伸ばして堂々と』をモットーに会場へと向かって行きます。
 今日はいつも見守ってくださるお兄さまもいません。
 一人でなんとかしなければならないため、不安で押しつぶされそうになり、息が乱れてきました。

 落ち着きましょう。深呼吸をして、ゆっくり目を開いて、大丈夫。やれます!

 私はウェルカムドリンクを受け取って、会場に足を踏み入れました。
 今日は王宮の一角にある宮殿でパーティーはおこなわれます。

 あ、おそらくあの皆様に囲まれてお話されている方が隣国の第二王子オリヴィエ・ブランジェさまですね。
 黄金色の綺麗な髪にアメジスト色の透き通った目をなさっています。
 立ち居振る舞いがとても上品かつ大胆な印象を抱きます。
 お兄さまの繊細な感じとはまた違う風格がございますね。

 さすがというべきでしょうか、宰相の方々やそれに由緒ある高貴なご令嬢などがご挨拶をして楽しそうにお話をしております。

「ローゼマリー様」
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