声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 私を呼ぶ声に振り返ると、そこにはなんとも可憐で可愛らしい方がいらっしゃいました。
 ふんわりとした髪にリボンをあしらった髪飾りをつけていらっしゃいます。

「明日の我がフェーヴル家でのお茶会に参加していただけるとのこと。大変光栄と存じます」
「(いえ、こちらこそです!)」
「大変ご足労いただきますが、よろしくお願いいたします」

 フェーヴル伯爵令嬢のお辞儀に合わせて私もお辞儀をします。
 声が出ないことを皆さんご存じの方が多いので、表情や手振りなどである程度理解してくださいます。


 パーティーも終わりの頃になってきました。
 もう少ししたら無事にお役目を果たせますね。
 そんなことを頭の中で考えていたら、突然叫び声が聞こえてきたのです。
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