声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 お茶会の会場であるフェーヴル伯爵家に到着すると、すぐにご令嬢が迎えに来てくださいました。

「ローゼマリー様っ! お待ちしておりました。この前は名乗りもせず申し訳ございませんでした。改めまして、フローラでございます。以後お見知りおきを」
「(ローゼマリーです、よろしくお願いいたします)」

 私は紙で文字を書いてお見せしたあと、お辞儀でご挨拶をいたしました。

「それでは早速庭園のほうへご案内いたします」

 そう言うとフローラさまは庭園へと案内をしながら今日のお茶会についてお話をしてくださいました。

「今日は赤をテーマとしたお茶会にさせていただきましたけれど、実はスイーツも赤をテーマにしてまして」
「(ふんふん)」
「ベリーをふんだんに使ったスイーツをたくさんご用意しております」
「──っ!!」

 ベリーのスイーツ!!!
 それはなんて素敵な響きでしょうか。
 ベリーは甘酸っぱくてとても好きなんです!
 それを聞いたクリスタさんも私の耳元で、「良かったですね、ローゼマリー様」とおっしゃいます。
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