声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「さあ、着きました。こちらでございます」

 着いた庭園を見るとそれはまた可愛らしい庭園で、ヴィルフェルト家のお庭も素敵ですがここもすごく華やかな感じです。
 私が来たのを見ると皆さん「ごきげんよう」とお声をかけてくださいます。
 フローラさまから紅茶をいただいて一口飲むと、フルーティーな香りがしてとても美味しいです。

 そんな風にお茶会を楽しんでいると、ふいにまたどこかから陰口が聞こえてきました。

「ローゼマリー様、今度は命を狙われたらしいわよ~」
「え~やだあ~こわい! なにか恨みでも買ってるんじゃないかしら?」

 私は聞こえないふりをしてフローラさまたちとお茶やスイーツを楽しみます。
 クリスタさんは私の後ろで殺気を出していて、私は大丈夫だからという合図で手で制止します。

「だって、修道院育ちで公爵家の娘になるなんて。一体どんなコネを使ったらできるのかしら」
「そうよ、ラルス様もきっとかど惑わされているんだわ!」
「どうせ色仕掛けでもして取り入ったんじゃないの? だって女性からの婚約のお申し出なんて多くあるのにいまだに婚約者様をお作りにならないなんて変よ」
「ラルス様も気がおかしくなってしまって……きゃっ!!!」
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