声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「ローゼマリー・ヴィルフェルト。私は貴殿との婚約を解消する」
「なっ! オリヴィエ王子!」
「だが、貿易業での協定は予定通り結ばせてもらう。このオリヴィエ・ブランジェの名において、我が父に進言しよう」
「なんと、ありがとうございます」

 そうだ、私にできることは少しでも彼女が幸せになるようにと取り計らうだけ。
 そう、そこに私の想いなど必要ない。

 私の恋心は、誰にも言わずにそっと胸にしまっておこう──
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