声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 ある日の午後。
 他の言葉もいくつか練習して書けるようになったことをラルスさまにお伝えしたいと思いますが、やはりいきなり行っても迷惑でしょうか。
 公爵さまのお仕事の手伝いをなさっているようで、毎日お忙しそうにしていらっしゃいます。
 そんな中でいつも読み書きを教えていただけるのは本当にありがたいことです……。

 そう思いながら廊下を歩いていて、気づけばそこはラルスさまのお部屋の前。
 ノックをしようかと手をあげては下ろし、あげては下ろしの繰り返しです。

「────修道院の──スターの行方──つかったのか?」
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