声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「もしかしてどこか汚れていましたでしょうか?! 私の掃除が行き届かず申し訳ございません。すぐに掃除をいたします!」

 そういってお部屋を出て行かれようとするので、私は慌ててメイドさんの腕を掴んで引き留めます。
 あっ! やってしまいましたっ! 汚い手でメイドさんの腕を掴んでしまいました……!

 私は慌てて手を離して、何度もごめんなさいとします。
 きっと怒られてしまいます……。
 痛いお仕置きが来ることを覚悟した私ですが、その痛みはいつまでたってもきませんでした。

「なにか違うことをお伝えになりたいのでしょうか?」
「(ふんふん)」

 もう一度目をみて伝えようとします。
 するとメイドさんは、はっとした様子で私に尋ねてこられました。

「もしかして、ご自分でお掃除がしたいのですか?」
「(そうですっ!!)」
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