声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

第8話

 ドレスを選び終わり、馬車に乗って帰ります。
 来るときにも改めて馬車に驚きましたが、やっぱり帰りもまだ慣れません。
 窓の外を眺めると景色がどんどん変わっていって、自分で走るよりももっと早くてその速さに圧倒されます。

「ローゼマリー」
「(?)」

 突然名前を呼ばれたのでラルスさまのほうをパッとみました。

「カフェに寄って行こうか」
「(かふぇ?)」

 またまた私の知らない言葉が飛んできて、それはどんなところなんですか?と心の中で聞いてみます。
 思いが通じたのか、予想をされていたのか、「カフェはね、お茶するところだよ」と教えてくださいました。
 なんでも紅茶やお菓子が出てくる場所のようで、そんな夢のような場所があるのかとワクワクしました。
 私はそんな気持ちが届けばいいなと、ちょっと大げさなくらい手をあげて喜んでみました──



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