声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 カフェにやってくるとお店の方がラルスさまに気づいたようで、奥の席へと案内してくださいました。
 席に着くとそこは大きなガラス張りになっていて、街の景色がよく見えます。
 すごいです! お庭が窓から見えて景色がすごい綺麗です!

「こうしてメニューがあってね、たくさん紅茶やお菓子が頼めるんだよ」

 私はテーブル越しにラルスさまが見せてくださったメニューを見ます。

 えっ! こんなにお金がいるのですか?!
 私は修道院にいたときもあまりお金に触れたことはありませんでしたが、とても自分では買えないものばかりです。
 いいんでしょうか、こんなものを頼んでしまって……。

「ここは貴族だけが入れるカフェだから少し高めなんだ。でもお金はきちんと私が持っているから安心して」

 「なんていってもローゼマリーは遠慮しちゃいそうだね」とラルスさまは笑うと、私が好きそうだというアップルティーを頼んでくださいました。

 しばらくしてアップルティーとチーズケーキが運ばれてきました。
 わあっ!! すごい香りっ!!
 アップルティーは本当に香りがよくてずっとこの香りに囲まれていたい、なんて思っちゃいます。
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