声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「これ、絵本なんだけど、読めるかな? 難しいお話ではないからソファに座って読んでごらん」
「(ふんふんっ!)」

 表紙は淡い感じで書かれていて女の子が一人お庭のような場所で座っている絵です。
 私はさっそくお兄さまのお部屋の椅子に座って読み始めました。

 最初はなかなか苦戦して読めないので、う~んといった感じで悩んでいると、その様子に気づいたお兄さまがたまに身に来て教えてくださいました。
 後半は段々すらすらと読めるようになり、内容もわかってきました。

 絵本の内容は、女の子が冒険をしていろんな街にでかけるお話ですが、途中で素敵な王子様が出てきました。
 その女の子が言うには、すらっとして背が高くてとてもかっこいい素敵な王子様だそうです。
 女の子は段々王子様のことが好きになっていって、毎日王子様のことが気になって仕方がないとのこと。

 ん? 気になって仕方ない? いつも? 毎日?

 私はお兄さまのほうを見て自分の胸に手をあてて考えてみました。
 なんだか、私とお兄さまみたいです。
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