声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 そして、絵本に目を移してまた読み始めます。

『女の子は王子様のことが好きになってしまいました。初めて恋をしたのです』

 その文章を見てはっとしました。

『恋』

 この文字をみて私の心臓は飛び跳ねました。
 絵本の女の子は最後王子様と結婚するのですが、私はずっと『恋』という文字が頭から離れなくて仕方ありませんでした。

 そうか、私、お兄さまに恋してるんだ。

 真剣な面持ちでお仕事をされるお顔を見ながら、私は自分の気持ちに気がつきました──

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