声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 誕生日のお祝いをしていただいた夜、二回目となる社交界の参加のためにバーデン伯爵家へと向かっていました。
 今回はご当主ではなく、いわゆるご令嬢やご令息などの若い方々のパーティーだそうです。
 なので、お父さまは参加せずにお兄さまと私の二人で参加をすることになりました。

「今日もなるべく近くにはいるから、もし困ったことがあったらすぐに声をかけていいからね」
「(こくこく)」

 会場についてウェルカムドリンクをいただきますが、私はまだお酒が飲めないのでノンアルコールのものです。
 お兄さまがお酒を飲んでいるのを見て、早く私も飲んでみたいなと思いました。

「まあ、ローゼマリー様。先日のパーティーではお招きいただきありがとうございました」
「(こちらこそありがとうございました)」

「ローゼマリー様はどのようなドレスも似合いますわね!」
「(そんなっ! みなさまのほうがお綺麗です!)」
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