崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
 代わりに、一緒に暮らし始めた当初では考えられないくらい《《料理だけは》》卒なくこなせるようになった(じん)が、天莉(あまり)を休ませて料理全般を頑張っているのだけれど。

 しんどそうにしている天莉が横たわっているソファー付近が何となく雑然としているのを感じて、尽は心の中で小さく吐息を落とした。

 尽はもちろん料理だけではなく他の家事も天莉に代わって一通りやるようにしている。

 特に掃除に関しては天莉をこれ以上不調にさせないために、と頑張っているつもりだ。
 とはいえ、まぁ床掃除自体は天莉が調子を悪くしてからすぐに買った、全自動お掃除ロボット『ルンダ』が毎日してくれているから尽がどうこうしなくても埃は落ちていないのだが、何だか天莉が掃除してくれていた時のようには、部屋が綺麗に片付かないのは何故だろう。

 天莉がまぁまぁ元気そうな時にそれとなく聞いたら、「あるべき場所にモノが戻っていないからじゃないかな……? ごめんね。私がもっと動けたらちゃんとするんだけど」と言われて慌てて「しなくていい」と天莉を気遣った尽だ。

 その件があってからは努めて使ったものはその都度元の場所に戻すようにしている《《つもり》》なのだけれど、どうも忙しさにかまけてそれがおろそかになりがちみたいで。

 天莉は「その気持ちだけで十分だよ。尽くんが言うほど散らかってないし」と、体調不良のなか、蒼白な顔をしながらも笑ってくれるのだけれど、尽としてはどうにもモヤモヤが募る。

 そもそもの問題として、高嶺家(たかみねけ)にはヤンチャ盛りの若猫オレオがいて、天莉が寝ていてもお構いなしにあちこち走り回るから。
 気がつけばオレオのおもちゃがとっ散らかっているのだ。
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