崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
 新婚旅行の夜、何となく二人で話した夢物語を(じん)が覚えていてくれて、ちゃんと実行しようと努力していてくれたことが天莉(あまり)にはたまらなく嬉しかった。

「パパ、有難う」

 天莉が何の気なしに赤ん坊目線で尽に礼を言ったら「その呼び方も悪くないんだけど……やっぱり俺は天莉からは名前で呼ばれたいな?」と言われて。「俺もね、天莉のことはずっと変わらず名前で呼び続けたいと思ってるよ」と付け加えられた。

 それは子をなして親になっても、ずっとお互いを〝個〟として尊重しようね?と宣言されているように思えて……。
 天莉は照れながらコクッとうなずいた。

 もちろん、子供の前では「お父さん(パパ)」「お母さん(ママ)」になることは多分にあるだろう。

 だけど――二人きりの時くらいは。


 天莉は「さぁ、おいで」と手を差し伸べてくれた尽の大きな腕の中に、小さくてか細い茉菜花(まなか)をゆだねた。

 尽が抱くと、自分が抱いていた時よりさらに小ぢんまりとして見える娘が、むずがることもなく安心しきった様子で尽に抱かれているのを見詰めながら、天莉は沐浴後に茉菜花へ着せるための服を準備し始めて――。

 そのすぐそばで、尽がふわふわのタオルの上に寝かせた茉菜花から、上手に産着(うぶぎ)を脱がせている様子がうかがえて、天莉はこの上なく幸せな気持ちに包まれる。

 およそ一年ちょっと前の今頃――。

 二月八日(誕生日の日)博視(ひろし)からこっぴどくフラれたことが、実は神様からの最上級のギフトだったんじゃないかしら?と思いながら。


   END(2023/02/02-2023/10/15)
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