排他的に支配しろ
《革命》




 誰かの話し声で意識が現実の方へ吸い込まれていく。

 辺りはまだ暗く、日の出には早い。



「監視カメラ全部、でしょ? わざわざ探してやってるとしか思えないよねえ……」

『直前データは端末の通り』

「フードが深くてよくわかんないね~」

『生体認証の結果、百鬼会窃盗犯と同一だと判明』

「……へえ、そうなんだ」



 遠くで聞こえる会話に耳を澄ませながら、もぞもぞとベッドを起き上がる。

 隣にいたはずの春日さんがいない。

 代わりに、扉が少し開いていた。声はそこから漏れている。

 なんの話……?


 そっと隙間から外を覗くと、開かずの扉に背を預けてタブレットを眺める春日さんがいた。

 きっと、相手は部屋から出てこないあの機械音声の人だ。



「事情がなさそうな危険なら言って。また頼んで排除してもらうよ」

『問題なし』

「おっけ。……ちなみに、目的がありそうってこと?」

『KEEP OUTに潜入し、街について調査中の模様』

「あ~、なんか探ってんだ。……困ったなあ、りんのことも心配なのに」



 急に名前を出され、ビクッと肩が跳ねる。

 扉に軽く当てていた手も揺れてしまい、ゆっくりと隙間が広くなっていった。


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