排他的に支配しろ


 じりじりとにじり寄ってくるルイくん。

 考える力を奪われた中、本能は警告を鳴らし続けていた。

 わたしも上半身だけはなんとか起こして、お尻を床に擦りながらルイくんから遠ざかる。

 でも、このままじゃどうせ追い付かれる。



「ルイくん、なに、するつもりなの……?」



 わたしの声は聞こえていない。

 虚ろな目がわたしの姿だけを認識しているように感じた。



「あっ……」



 壁に背中が当たる。

 パッと顔を上げた先には、ルイくんの顔。

 もう、逃げられない……。


 細くて冷たい指が足首を掴んできた。

 それだけで、敏感になった体は跳ねてしまって。



「っっ……、」

「ごめん……」

「んっ、ゃ……」



 ────自分は何もせずに守ってもらうつもりだった?


 ルカさんの言葉が頭をよぎる。


 わたしは今、助けを待っている。

 光峰さんがやって来て、颯爽と連れ出してくれるような夢物語を、どこかで描いている。


 ────おまえ、従わせる側ではないの?


 そう。わたしのコードネームは、《支配》。

 でも、わたしはずっと従う側だった。


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