幽霊相談所(短)
とある幽霊たちのひとこま
「きゃぁぁ!」


高らかな人間の悲鳴に、私は微笑んだ。そして、更に悲鳴を出させる為、その女の追い掛け回す。すると、女は真っ青になって泣きながらその場を逃げ出した。


さてと、今日の仕事はこれで終わりだ。幽霊となった今では人間を脅かす事が仕事。人間の悲鳴を多く集めれば集める程、幽霊としての地位が上がる。


特に私のように有名な幽霊は毎日脅かす人数が半端じゃない。ただ井戸で皿を数えているだけでも、最上級幽霊の暮らしが出来るほどに、人間は悲鳴を上げる。更にそれを追い回すのだから、もう幽霊界では名前を知らない者は存在しないだろう。


「お菊さん、今日はもうおしまいかい?」


そう声をかけてきたのは同じ職場の八米。八米の方が長い事人間を脅かしてきたようだが、ちっとも暮らしは裕福にならない様子だった。


「えぇ、終わりよ」


お菊は自信に満ち溢れた笑顔でそう答えた。
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