Filigran.
「俺が今日休みだったら高橋君詰んでたよ…」
彼は帰ってくるなり、そう言ってヘタリと椅子に座り込んだ。
プレハブにいる全員から「おつかれ」と声をかけられて笑っている。
この学校はなかなかヘビーな体育祭をするらしい…。
競技がどんどんと終わり、
あと2種目で午前の部が終わるというとき。
「じゃあ俺ら三人とも行くから。」そう言って立ち上がった。
朝からずっとそばに三人がいたから、急にいなくなるのが寂しい。
弓弦君はそんな私の目線に合わせるようにしゃがむと、
「いつでも俺だけが雪乃の夢を叶えてあげられるってこと、
ちゃんと覚えてて」と真剣な目で言った。
それはいつかの、
彼が作詞した曲を初めて披露したときみたいな、そんな瞳に似ていた。
「…うん、行ってらっしゃい」
そう言えば三人は嬉しそうに笑う。
新條君は「お前ら姫のこと見守っといて」と
同じプレハブにいる人達に言い残していった。
そう言われた人たちも嬉しそうに笑って、
「任せてよ~」
「かましてこいよ!」
と温かい声で三人を見送っている。
とんでもないサプライズが始まったのは、
午前の部最後のことだった。