大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 かなり高さをかせげたと思う。
 リリアナは魔物のいない位置を見定めて、螺旋階段の途中に着地した。

 見上げてもゴールらしきフロアは見えてこない。
 その代わり塔の中を飛ぶ魔物が見える。大きな目玉に翼の生えたフライングアイだろうか。目から光線を出して攻撃してくる魔物だ。もしも気づかずに飛んでいたら光線で撃ち落とされてしまっただろう。
 逆に言えば、フライングアイの攻撃が届かない所までは飛んでいけそうだ。
 リリアナは再び魔法を発動して高く飛んだ。

 着地すると、フライングアイ2体がリリアナに気付いて大きな目玉をギョロリと光らせる。
 その目から光線が放たれる前に火球をぶつけた。威力は弱くて構わない。むき出しの目を乾燥させればいいだけだ。
 フライングアイは目の表面がカラカラに乾燥すると光線を出せなくなり、潤いを取り戻すまでしばらくかかる。
 フライングアイが瞬きを繰り返している隙にまた高く飛んだ。

 これを繰り返して、塔の1階フロアが見えなくなったところで、天井が見えはじめた。
 あれが最上階フロアだろうか、それともまだまだ先があるんだろうか。
「お腹すいた……」
 リリアナは周囲に魔物がいないことを確認して階段に座ると、マジックポーチからチョコレートバーを取り出してかじる。

 ハリス先生、頑張るからね!
 どうせ途中でお腹がすくだろうからと、ハリスはチョコレートバーをたくさん持たせてくれた。今回はオレンジが入っていて、酸味とチョコレートの甘みが絶妙だ。
 2本をペロリと平らげると、次にマンドラゴラサラダがぎっしり詰まったガラス容器を取り出す。
 口直しにさっぱり味のサラダを、シャキシャキと小気味いい音を立てながらこれまたペロリと食べた。マンドラゴラのバフは全ステータスが上がるため、ここから先はさらに高く飛べるはずだ。
 
 リリアナの脳裏にふと、テオがキングマンドラゴラを倒した話を楽しそうに語っていた顔が浮かんだ。
「よし、行こう!」
 小声で己を鼓舞しながら立ち上がる。

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