大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 ハリスは2頭のカリュドールを仕留めて手早く捌き、ロース肉とモモ肉はリリアナが調理を担当してその場で食べることになった。
 コハクは、ハリスの捌いた生肉には美味しそうに食いついている。
 
 薄くスライスした肉を並べて塩を振り、付近で採集したタケノコとキノコ、臭み消し用のすっきりとした苦みのあるハーブと解毒ハーブを巻いて棒状にする。それを水溶き小麦粉にくぐらせてパン粉をまぶした。
 フライパンで多めの背脂を熱して溶かすと、高温になるのを待って揚げていく。

 ジュワジュワという油が泡立つ音とともにコクのある濃い香りが漂う。
 リリアナがふと横を見ると、テオがお腹を押さえていた。
 鼻をくすぐる匂いだけで、これは絶対に美味しいやつだと察知した腹の虫たちが騒ぎ始めたのかもしれない。
 2日前、魔牛のステーキを最初に拒否していた理由を、
「美食は敵だとウォーリアの里で教えられた」
と、テオは語った。
 干し肉をかじるだけの粗末な食事を続け、美味しい物を食べたいという当然の欲求を否定していたテオだが、ハリスとリリアナの作るガーデン料理を口にすることへの抵抗感は徐々にやわらいできている。
 それが嬉しくて、思わずうふふっと笑っているとテオと目が合った。
「なにニヤニヤ笑ってんだよ」
「もうすぐ出来上がるから、楽しみにしててね」
「別に楽しみじゃねーし! 強化バフをつけたいだけだ!」
 ぶすくれるテオが、暴れまわる腹の虫をなだめるようにお腹をさする。
 
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