大食いパーティー、ガーデンにて奮闘する
 しかし珍しいペットを飼っていると自慢したいのか、禁忌を承知の上でガーデンの魔物をペットとして手元に置きたいと考える金持ちが各国にいるようだ。そんな彼らの自己顕示欲に目を付けて、金儲けする悪徳仲介業者もいる。
 ペットの違法取引とは、冒険者同士の取引を装い第三者に魔物を高額で売り渡す行為を指す。
 大陸の各国には、犯罪を摘発し治安を維持するための警備組織が存在する。しかしガーデンに関することはガーデン管理ギルドに解決を依頼するのが慣例となっているため、ペットの違法取引もこちらに依頼が来たという訳だ。

「マルドを経由してケイラルからラシンダ王国へガーデンのペットが横流しされているというタレコミがあったんです。それを確認してくる依頼なんですが……」
 ここでエミリーが、眉尻を下げて言い淀む。
「テオさんが同行されるのは、いろいろと不都合があるかもしれません」
 
 途中からハリスと並んで話を聞いていたリリアナが、そうでしょうねと首肯する。
 テオは直情的な性格だから、潜入捜査は最も向かない。
 
「そうだなあ……」
 ハリスは腕を組んで首をひねっている。
 あまり執着心のない彼が未練タラタラの様子を見せるのはとても珍しい。それだけソバの実に興味があるのだろう。
 リリアナはそんなハリスのために出来ることはないかと思案して、いいことを思いついた。

「ねえ、先生。テオには特別な修行を与えて留守番してもらえばいいわ!」

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