マグ
私はあまりにもはっきりと母に嘘を付いた兄に驚いていた。
兄は昔から品行方正で、嘘など吐いた事はないのだろうと思っていた。
それなのにこんなに堂々と、優哉が家庭教師を続けられない理由を偽るとは・・・
兄には今までも、もしかしたら色々と騙されていたのかもしれない・・・
私はうつむき加減でご飯を茶碗から直接口に運びながら、横目で兄を見た。
いつもは犬食いすると家族に注意されるのだが、母はがっかりして気が回らないのか何も言わないし、兄はまるで見て見ぬ振りをするように私の方へ向こうとはしなかった。