マグ
私は気持ちだけは慌てて、彼の後を追い掛けた。
だけど酔っているのと、急に彼が現れたショックで身体は思う様に動かない。
彼は駐車場を抜けて大通りに出ると、手を揚げてタクシーを停めた。
そして後ろからのろのろと歩いて来た私の腕をしっかりと掴み、もう一方の手で私の腰の辺りを押して、タクシーの車内に押し込めた。
そして後から乗り込んで
「瀬田三丁目まで。公園の手前ね」
と低い声で運転手に向かって言った。