マグ

おそらく私が彼の部屋に泊まった事を、いつも一緒にいるママよりも、普段滅多に話もしないパパに、先に話してしまったことに気を悪くしたのではないだろうか。


あの日、パパがママにどんな風に話したのかは聞いていない。


しかし自分の諸行を私にばらされたくはないだろうから、彼の部屋に泊まってしまった私を責めないように言ったには違いない。


あの日、家に帰り帰りづらかった私は、パパを呼び出し、嘘を付いて彼の部屋に泊まった事を告白し、謝ったことになっているのではないかと思う。


パパは理解ある父親の如く、自分から私に言うべき事は言って置いたから、もうこれ以上は叱る必要はないとか何とか、ママに言ったのではないだろうか。


あの後、私はママから叱られることは一切なかった。


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