最愛の人と最高の結婚式を、あなたへ
「それは私も同じよ。未来くん」

華澄はそう微笑む。胸の中に未来に対する温かい想いと、家族が責められている姿に面白さが混じってしまう。華澄は心の中で呟いた。

(これで、復讐完了ね)

拓と華澄は同じ大手に勤めている。だが、拓は仕事で出世をすることよりもプライベートを大切にするタイプのため、出世街道からは程遠い道を歩いている。そのため、給料は高いとは言えない。

姫乃は拓がお金持ちだと思いアプローチをかけ、周りに自慢していたものの、実際の拓はそれほどお金もなく、趣味のために散財していたため、貯金すらほとんどなかった。そのため、姫乃の憧れだったディズニーでの挙式は叶わなかったのだ。新婚旅行すら、行けていない。

今回の復讐は、憧れの場所で式を挙げる様子を見せつけ、ゲストたちに家族のこれまでのことを全て暴露することである。結果、それは大成功となったのだ。

だが、華澄はもっと姫乃の絶望した顔が見たいと思い、あの日姫乃が拓にした時のように未来に抱き付き、言った。

「ねえ未来くん。新婚旅行、とても楽しみね。イタリアとフランスに行けるなんて、とっても嬉しい!」

「そうだね!おいしい料理を食べて、素敵な観光地をたくさん見て回ろうね!」

姫乃は唇を強く噛み締めている。イタリアとフランスは、姫乃が新婚旅行にいきたいと言っていた場所だったからだ。

その様子を見て、そして隣にいる未来を見て、華澄は幸せに浸るのだった。
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