あなたの傷痕にキスを〜有能なホテル支配人は彼女とベビーを囲い込む〜
差し込んだ朝日
「里穂、そろそろ起きれるか」

 柔らかい声で起こされた。

「…………ん」

 ぼんやりとしていた視界がはっきりすると、慎吾が自分の上にかがみ込んでいる。

 沢山寝ていたようで、体が重だるい。

「里穂?」

 寝ぼけているせいか、里穂はもっと甘えたくなって慎吾に腕を伸ばした。

「……そろそろ、俺に堕ちてきた?」

『私が慎吾のこと、大好きなことを知っているくせに』
 返したかった言葉は喉で止まってしまう。

 彼に『諦めろ』と言われたのが、ひっかかっていた。
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