"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
ハンドルを握る恭平の顔を見やると、鼻筋の通った異次元の美しい横顔が前を見据えている。まるでアニメから飛び出してきたかのようだ。

『兄さんに幸せになってもらいたい。できれば、真琴さんと一緒に。僕にとってふたりはとても大切な人だから』

洸平の言葉が真琴の頭をよぎる。同時に真琴の心臓が大きく脈打ち始めた。

どうしたのだろう。ドキドキする。出会った時は嫌悪感でいっぱいだったのに……避けることに必死だったのに……
真琴の中に芽生えた初めての感情が、既存の感情とぶつかり合い、ぐちゃぐちゃになる。
その中で、真琴の頭に浮かんだのは恭平の言葉だった。

『俺を好きになれ。俺が傍にいて見守るから』
『君が、俺を受け入れて、俺だけを見てくれれば、俺が全力で守る』

今なら、人間を好きになれるかもしれない。でも……
真琴の生い立ちが邪魔をする。

「恭平さん」

真琴は恭平の美しい横顔に呼びかけた。

「ん?」

穏やかな返事が、ぐちゃぐちゃになってしまった感情を鎮まらせる。

「私は、母子家庭で父親が誰なのかも知りません。片親だからと後ろ指を刺されないように厳しく育てられましたが、父親がいないという事実は変わりません。なので、高御堂家の恭平さんと私では、もともと住む世界が違うと思います」

「それは、遠回しに俺を振っているのか?」

「いいえ、そうではありません。恭平さんのような家柄ともなると、それなりのお相手が望まれるのではないかと思いまして」

「家柄?」

「はい」

「くだらん」

「え?」

「俺を見くびるな」

「え……」

「はっきり言わせてもらう。俺は君に一目惚れした。君の佇まいは、今まで出会った女性とは別次元の美しさだったからだ。理性を失うほど一瞬にして惹きつけられた。前にも言ったが、人の立ち振る舞いはその人独特のものだ。育ちが素直に現れる。付け焼き刃なんてものはすぐにボロが出るだろう。そんな女性は何人も見てきた。俺に近づく女性は、俺のルックスとステイタスが目当てだ。外見は美しく着飾っていても、中身が伴っていない女性が大半だった。だが君は………」

「……」

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