"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「君みたいな女性は初めてだ。整った容姿も、言葉遣いも、所作も、優れた計算能力も、ワインに対する知識も、君を知れば知るほど、君を自分のものにしたい欲情に駆られた。これまでは知れば知るほど冷めていくことの方が当たり前になっていたが、まったくもってその逆だ。しかも、オセオンや洸平に嫉妬した。俺にもこんな部分があったのかと驚いた」

恭平は苦笑し、話を続けた。

「君は感情をあまり表には出さないから、愛想がないと言われることがあると思うが、それは君が自分を取り繕ったりしないからだ。でも、俺は知っている。君がちゃんと笑うってことをね。君自身は気づいていないかも知れないが」

「買い被りすぎです」

「買い被りすぎ?俺は事実を言っているだけだが」

「私のことをそういうふうに仰ってくださるのはとても嬉しいし、ありがたいです。でもきっと、恭平さんが想ってくれている私は、今が最上級なのだと思います。だとすると、他の女性のように段々冷めていく確率の方が高いのではないですか?」

「確率ねぇ……」

「はい」

「だったら、手っ取り早く付き合って確認してみろ。俺が冷めるかどうか試してみればいい。俺は絶対に冷めないと断言できるがな」

「凄い自信ですね」

「それだけ俺が君に惚れているってことだ」

「なんだか丸め込まれているような……」

「そうだ。丸め込んでいる」

真琴はクスッと笑いを漏らした。

「呆れたか?」

「いいえ、あまりにもストレート過ぎて思わず頷いてしまいそうです」

「そのまま頷いてしまおうか」

信号が赤になり、車を停止させた恭平が真琴を見やる。

「ほら、頷いて」

視線が重なった。恭平の琥珀色の瞳は、しっかりと真琴を見据えている。

「お友達は卒業です」

「レベルアップか?」

真琴はゆっくり頷き、笑みを浮かべた。恭平の目尻も下がる。
真琴は一歩踏み出す決意を言葉にした。

「恋人として、これからよろしくお願いします。それから、君、じゃなくて、真琴って呼んでください」

恭平はふぅっと息を吐くと、真琴の手に自分の左手を優しく重ねた。
大きな手に包み込まれ、心がじわりと温かくなる。

「真琴、俺から離れるなよ」

真琴が頷くと、重ねられた手に力が入り、真琴の手を強く握りしめた。まるで、逃がさないと言っているかのように……
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