"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「あなたたちの気持ちも考えず、自分の勝手だけを押しつけて反対してしまって、ごめんなさい」

「お母さん、真琴さんを産んでくださり、ありがとうございます。弟の洸平がお世話になったのも、今こうして挨拶に伺っていることも、運命なのではないかと思っています。僕はこの運命を大事にしたい。叔母が何を言ってこようが、僕は真琴さんを離しません。僕が守ります。どうか、真琴さんとの結婚と、一緒に暮らすこと、許していただけないでしょうか。お願いします」

恭平は深く頭を下げた。

「頭を上げてください。私が望むのは娘の幸せです。真琴にあんな穏やかな顔をさせられるのは、きっと貴方だけね。恭平さん、真琴のこと、よろしくお願いします」

「ありがとうございます!」

「でも、あまり甘やかさないでくださいね。食は生きていくための基本です。美味しくない時は美味しくないと、はっきり言ってくれなければ真琴のためになりません」

「え……」
「え……」

直子はおもむろに席を立つと、カウンターへとまわり、年季の入ったノートを取り出し、真琴に手渡した。

そっと開くと、そこには、イラスト付きの料理レシピが、わかりやすくまとめられていた。

「むやみやたらに渡しても、引き出しの奥底か、クローゼットの奥の奥に追いやられるかでしょう。真琴に大切な人ができた時、渡そうと思っていたの」

「お母さん…」

やはり、母親はよくわかっている。どんな態度をとろうとも、真琴のことを理解し、幸せを願う。直子の偉大さを思い知った。

「お母さん、ごめんなさい。私、たくさん勘違いしてて、お母さんのこと……」
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