"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「あ、あのぅ、傷とは……私の思い過ごしでしたら申し訳ありません。社長、お怪我をされたのですか?」

「あ、そうか!真琴さんにとって父さんは社長なんだ。そうだったそうだった!なんか変な感じ。真琴さん、父さんは怪我じゃないよ。手術したんだ」

「え⁉︎」

「ちょっとここにできものができてしまってね、取り除いてもらったんだよ」

後頭部を指差した。

姿を見なかったのは病気療養中だったのか…
多分、社員はこのことを知らない。恭平の傍にいた真琴でさえも気づかなかった。いや、恭平が悟られないよう振る舞っていたのだ。父親が大変な時だったのに、何も言わず、真琴との時間を作ってくれていたことに、心苦しい気持ちでいっぱいになった。

「何も知らず、申し訳ありません」

「何故真琴さんが謝るんだ。私はもうこの通り、復活した。それよりも、その、社長はやめて欲しいかな。お義父さんがいいなぁ」

「あら、あなた、それはずるいわよ。だったら、わたくしは、お義母さんがいいわ」

「ふたりとも、気が早いね。まぁ、でも、すぐ娘になるんだから、いっかぁ。あ、じゃあ、僕、お義姉さんって呼ばなきゃいけないの?」

「洸平さん、それは……」

「だよね、真琴さんでいいよね」

高御堂家では、いったいどこまで話が進んでいるのだろうと、恭平に視線を移すと、ニコちゃんマークのような顔をしていた。

「ほら、真琴さん、呼んでくれんか?」

手を添えた耳を真琴に向ける。

対応に困り、恭平にもう一度視線を向けると、笑顔で頷いた。

「お、お父さま」

「うん、うん、なかなかいいもんだなぁ」

「じゃあ、次はわたくしね。真琴さん、どうぞ」

姿勢を正し、待っている。

「お、お母さま」

「いやぁぁぁぁぁっ!」

手で頬を押さえ、乙女のような仕草で照れている。真琴も十分恥ずかしい。
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