"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
翌日出勤すると、案の定社内中が大騒ぎだった。

今日は海外の取引先の要人が会社を訪問する予定で、恭平が対応することになっている。その打ち合わせが早朝から行われるということで、恭平は真琴よりも一足先に出勤していた。もちろん、左手薬指には結婚指輪を嵌めて。
女性社員がそれを見逃す筈もなく、あちらこちらで話題の的になっていた。それは経理課も同様。相手は誰だとあちらこちらから聞こえてくる。

直属の上司である課長には既に報告し、人事部にも恭平と結婚する旨を伝え、提出書類一式を手渡されているが、それでも相手がわからないということは、彼らがしっかりと個人情報を管理し、守っているということだ。

騒つく中、真琴は席に着き仕事の準備をする。
ほどなく出勤してきた課長の顔は、明らかに締まりがない。
真琴と目が合えば、垂れた目尻がより一層垂れ下がる。

先週末、恭平が専務室に課長を呼び出しており、そこでふたり揃って結婚する旨を伝えた。 
もし、社員が知ることになってしまった時は、真琴への風当たりが強くならないよう、定年退職を迎えるその日まで、自分に出来る限りのことはさせてもらうと心強い言葉をくれた。
退職前に嬉しいプレゼントをもらったようだと、課長は大層喜んでくれたのだった。
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