"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
「真琴!おい、真琴!」

遠退く意識を取り戻してくれたのは恭平の切羽詰まった声だった。

ゆっくり目を開ける。

「真琴、わかるか?」

「恭平さん?」

「もう大丈夫だ。俺がいる」

「専務、車を表にまわしています」

「すまない。宝来、あとは頼んだ」

「かしこまりました」

恭平は真琴を横抱きにかかえた。

「皆さん、葛葉真琴は私の妻です。今、妊娠しています。私の配慮が足りず、皆さんにも迷惑をおかけしてまいました。しばらく休ませようと思いますので、どうかご理解いただければと思います。課長、よろしいでしょうか?」

「勿論です」

「それでは失礼いたします」

恭平は真琴を抱えたまま、エントランスを抜けた。


目を覚ました真琴は病院のベッドの上だった。
恭平が悲愴な面持ちで見つめている。

「恭平さん」

「真琴!ごめんな、気づいてやれなくて、ホントごめん」

「私の方こそ、ごめんなさい。結局、みんなに迷惑をかけてしまいました」

「真琴、頼みがある。もう、絶対無理しないでくれ。自分の身体をもっと大事にしてくれ。俺は真琴に何かあったら生きていけない」

「約束します。本当にごめんなさい」

恭平はうんうんと頷いた。

< 171 / 197 >

この作品をシェア

pagetop