"ぶっきらぼうで笑わない女神"の恋愛事情
選んでくれてありがとう
◇◇◇◇◇

翌朝目覚めた真琴は、点滴と直子お手製ゼリーのおかげか、思いのほか身体が軽かった。

昨日の直子の言葉を思い出す。

『議員辞職会見』

ゼリーを完食した後、直子が真琴をベッドに横たえた。
呼吸を整えた直子の口から語られたのは、直子と真琴の存在を掴んだ週刊誌の記事が出てしまうということ。そしてその記事に書かれていることについて大佑が会見の場で説明するということ。しかもその会見は大佑の議員辞職会見でもあるということだった。
直子の口調はとても穏やかで、大佑を絶対的に信頼しているよう見てとれた。

大佑は自分たちのことをどう話すのだろうか。

会見の時間は面会時間ではないため、真琴はひとりでテレビ画面に向かうことになる。不安は拭えない。けれど、直子の悠然とした佇まいと、いつも味方でいてくれる高御堂家の人々。そして何より、心から真琴を愛してくれている恭平の存在が真琴の不安を和らげていた。

そろそろ時間だ。
真琴はソファーに腰掛け、テレビのスイッチを入れた。

マイクが設置された演説台の前には、大勢のマスコミ関係者が騒つきながら待機している。
司会者が大佑の登壇を告げると、一気にフラッシュがたかれ、大佑が姿を現した。
堂々と前を見据え、襟を正す。

真琴はパジャマの胸元をギュッと握りしめ、テレビ画面に向き合った。
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